早速、落ち着きと楽しさが
共存するお寺へ

 

【上】雰囲気のいい山門は昭和初期に再建されたもので、元のは関東大震災に壊されてしまったそうです。
【左下】秋には黄色に染まったイチョウと相まった「地蔵堂」も、2020年(令和2)にできた新しい建物。
【右下】それに対して、世田谷区有形文化財に指定された「仏殿」や「鐘楼」は3百年以上の歴史を持っています。新旧入り交じっているのも、その魅力の一つなのでは?♪

梅・桜・紅葉などの草木に彩られた境内は広々としていて、歩き心地がとてもいいです。調べてみると、その広さはなんと東京ドーム超えの5万㎡だったとか!まさかそんな「豪徳寺」は、江戸時代には小さくて貧乏な庵だったなんて、ちょっと想像が付きませんね。

その盛んになる転機を連れてくるのは、そう、招き猫の始祖ともされる一匹の白い猫だったのです。

詳細は諸説紛々ですが、その一つをざっくり言うと、当時前述の井伊家は彦根藩となっており、二代目藩主・井伊直孝が鷹狩帰りするとき、住職が飼った白い猫「たま」が手招きをしているのを見て、面白がってついていくと、雷雨の難を逃れました。そのお礼に、お寺を井伊家の菩提寺として伽藍を建立整備したと言われています。

そのため、寺名も「弘徳院」から直孝の戒名「久昌院殿豪徳天英居士」にちなんで、「豪徳寺」に改名されたのです。

たまは本当に災を予知し、福を呼ぶ超能力猫かどうかは別として(笑)、そのおかげで「豪徳寺」はこんなにも立派なお寺になっているので、亡くなってからも「招福猫児(まねきねこ)」として人々の信仰を集めており、少なくとも毎日各地から多くの参拝者を招いてくれています。

 

ただただ圧倒される
大量の招き猫

 

その家内安全・商売繁盛・開運招福を願う人々から奉納された招き猫は大小様々で、これだけの数があったら本当に福が呼び寄せられるんじゃないの?と思わせるぐらい。

しかも、見た目は基本同じでも書き手によって微妙に異なるのもあって、見る角度によって表情が変わり、愛嬌を感じさせるので、見れば見るほど興味深く、時間をかけてじっくり見ていきたいと思いました。

そうすると一つ気付いたことがありました。

ーーお馴染みの小判がない!

招き猫なのに小判を持っていないなんて、独特ですね。

それは、「猫がもたらすのはあくまでも人とのご縁(=チャンス)で、福(=小判)に転じられるかどうかは当人の努力次第」という武士の戒めからだそうです。

つまり、何もかもお神様に頼り切るのではなく、自分もそれなりの努力をしないと、いい結果は生まれないということです。まさに武家である井伊家らしい堅実な考えなんですね(でも好き笑)

残念なことに、本殿の横にある「招猫殿」は2022年4月まで改修工事が行われているため、猫の姿をした珍しい「招猫観音」や、お堂の周辺を埋め尽くす招き猫の絶景を拝観することはできませんでした。

ガイドブックに載せられた写真のままの景色が見られないのは心残りですが、棚に置いてある招き猫を眺めてみると、オリジナリティあふれる面白い招き猫もあったりしたので、思った以上に楽しめました。

▲たとえばこれ、子連れの招き猫(?!)。これでたくさんのいいご縁を呼び寄せてくれそうで心強いですね(笑)


【左】このご時世はやはりマスクは欠かせないアイテム(笑)
【右】最初は「寒い中奉納者の気遣いは周到ですね」と感心したのに、なぜか王様に見えてきてしまいました(笑)

▲自分の独創的なアイデアもぜひ生かしたい!…のではなく(笑)、願掛けや御礼をするのなら、「招福殿」の隣にある「奉納所」を訪れましょう。可愛い招き猫が手招きをしてくれるので、見つかりやすいですよ。

【上】大きさはミニサイズの「豆」から30cmの「尺」まで全部で9種類。大切な人への手土産にするのもよさそう💛
【左下】その年の干支と一緒に描かれた絵馬も収集しておきたくなりますね。
【右下】絵馬掛けに掛けられた色んな干支のバージョンを眺めるのも一興です。

そしてこの三重塔も見逃せないスポット!

なぜかというと、塔の四方に施された12干支の彫刻に、猫もいるのです。

しかも、その一匹は一番仲が悪いはずの「子(ねずみ)」のそばに。

鼠の仕掛けで干支から外れてしまった猫。それでも和気あいあいにお寺を守護するという光景は、なんだかぐっとくるものですね。

拡大してみるとこんな感じ。「招福猫児観音像」のところに一匹で、その右側に親子の猫もいたので、合わせて4匹。ぜひ探して見てくださいね♪

ちなみに、井伊家は彦根藩の当主だったということで、滋賀県彦根市の人気ゆるキャラ「ひこにゃん」は、井伊の象徴である「赤備え」と「招き猫」といった二つの要素を取り入れて、デザインされたそうです(写真は2020年2月に豪徳寺を訪れたときの様子)。

道理で招福猫児に似ているんですね💛どちらも可愛い!

去る前に、この見事な松並木の景色を鑑賞するのも忘れずに。「豪徳寺参道の松並木」は世田谷区の地域風景資産に選定されたもので、見るだけの価値がありますよ!

 

そしてこれ!
大人気な「招き猫電車」

 

楽しみはそれだけじゃない!世田谷区の「三軒茶屋」~「下高井戸」約5キロの区間を、2両編成の路面電車・世田谷線が走っていますが、その中になんと、招き猫のデザインがあしらわれている電車も混じっています!

元々は世田谷線の前身であった「玉電」の開通110周年記念として、2017年から1年ほど運行されていましたが、あまりにも大人気だったのもあり、2019年に猫耳や鈴のデザインが追加された2代目が「世田谷線50周年」を機に、再び登場したそうです。

2021年3月までは専用の時刻表通りに走っていましたが、今は不定期で運行しているので、出会えたらラッキーですよ(^^♪


▲先頭部は猫顔になった電車は本当に可愛くて、街で見かけるだけでテンションがグッと上がっちゃいます。車内には「招きポーズ」の吊り革が設置されたり、猫の足跡が床に施されたりして、遊び心満載。

▲電車の側面はこんな感じ。招き猫のラッピングを身に纏われ、シンプルで可愛いです。

▲招き猫の電車のほか、9種類のカラーバリエーションが存在しているようで、どの車両に出会うかなというワクワク感が常にあります。電車に特に思いはない自分でも、警笛が鳴るたびに思わず心が躍ってしまいます。

 

「宮の坂」駅&
江ノ電601号もお見逃しなく

 

実は、「豪徳寺」には小田急線の同名の駅より、世田谷線「宮の坂」駅のほうが近いんです。4分しか歩かなくて前者の三分の一ぐらい。

ただ、世田谷線は東急のローカル線なので、ほかの街からなら小田急線のほうがよりアクセスしやすいかもしれません。

ところで…駅に着いたら双子のような電車が二台止まっている!

近寄ってみていたら、その一つはすでに退役している「江ノ電601号」でした。緑の車体がレトロ感あふれていて、とても素敵💛

一時期渋谷~二子玉川・下高井戸間を走り、江ノ電になってからは藤澤~鎌倉間を走っていた電車の車内は、一歩でも踏み入れると、大正・昭和にタイムスリップしたかのようなノスタルジックな空間。昔の人たちはこれで出勤したりしていたかと思うと、不思議な気持ちになりました。

座席でくつろぐ親子などもいて、静かでのんびりとした空気が流れていました。こんな休日の時間も愛おしくて重宝したいですね。

 

猫探しも楽しめる
昔ながらの商店街をお散歩

 

話を少し前に戻しますが、「豪徳寺」までは世田谷線の「宮の坂」駅のほうが最寄りですが、急がない時はやはり小田急線の「豪徳寺」駅から行くのがおススメ。

なぜなら、緑や閑静な住宅街に囲まれた「宮の坂」駅より、パティスリー・和菓子屋・コンビニ・クリニック…など、穏やかな雰囲気が漂いながらも、生活で役立つお店や施設が軒を連ねる「豪徳寺商店街」と「山下商店街」をぶらぶらして行くほうが、楽しさが倍増すると思いますから。

【上】まぐろの解体ショーをやる鮮魚店とか、めちゃくちゃ楽しいじゃないですか!
【左下】露天風呂がつく綺麗な銭湯もありますよ!こちらでゆっくりたっぶりと、癒してもらいましょうぜ。
【右下】24時まで営業するスーパー「トップパルケ」は、帰宅が遅い住民の強い味方。

▲ここの野菜、セールの時にはこんなにも安くなるんですね(驚)しかも形はめちゃ綺麗ッ!

▲すぐ隣の八百屋さんも普段めったに見ない珍しい野菜を売ったりしており、地元の方は食生活が健康で充実しそう!

そして何と言っても、招き猫の街と言っても過言ではないので、思いもかけないところからふとその姿が飛び込んでくるのが面白くてワクワクするんですよ。

▲まず駅から出てすぐ、ようこそと言いたげに(?)手招きしてくれる招き猫が目につきます。もえー💛

▲お店の暖簾や道案内看板に現れた猫の姿が千種万様で、見るだけでも楽しめます。

▲招き猫の焼き印が入った和菓子や、招き猫をモチーフにした様々なデザートも魅力的。全部制覇しちゃいたいですね!

▲豪徳寺への道を示してくれる電信柱にもわんぱくな猫の絵が💛

 

散策するなら
これらのスポットもぜひ!

 

自然が好きで、オンとオフをしっかり切り替えたいと思っている人は、この街はのびのびと過ごせるのかもしれません。

息抜きや気分転換にいいスポット、あちこち散りばめられていますから。

▲「豪徳寺」駅から西側に伸びる「北沢川緑道ユリの木公園」は、車通りが少なく、まったりと散策できる整備された緑道。

▲「豪徳寺商店街」からもう少し足を伸ばすと、立派な土俵や、鯉が泳ぎ回る池のある神社が付属する「世田谷八幡宮」もあります。

▲そして豪徳寺の南側にある豊臣秀吉ゆかりの「世田谷城跡」で、昔に思いを馳せながらプチ登山をするのは、歴史好きには嬉しいポイントであること間違いなし。コンパクトな児童公園も併設しており、憩いの場としてファミリーで賑わっています(^^♪

 

 

いかがでしょうか?

 

ノスタルジックな商店街にリフレッシュされる銭湯、
緑あふれるスポットに良縁を呼び寄せてくれる招き猫…

癒し要素たっぷりの「豪徳寺」は、昼夜問わず賑やかな「新宿」には電車で16分で直行できるにもかかわらず、世田谷区内で特に治安が良くて静かなエリア

世田谷線を利用すれば、人気な「三軒茶屋」駅にもラクラクに行けちゃうので、色んな面で暮らしやすい街だと思います。

都心の利便性は捨てがたいが、都会の喧騒が苦手な人、特に猫が目に入るだけで幸福感がこみ上げてくる猫好きには、ぴったりな街なのかもしれません(^^♪

 

 

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