東京近郊の中古マンションの購入件数と価格が前年比でどう変動しているかを地域と築年数ごとに比較。中古マンション物件市場の動向から、リノベーションに適した築年数と構造を解説しています。
首都圏の大半で成約数減少も価格は上昇
引用元:東日本不動産流通機構
都心部では新築物件の代替手段として一定の需要
2023年4~6月の首都圏の中古マンション成約数は、前年同期比で横浜・川崎市のみ若干増加したものの他のすべての地域で減少しています。
とはいえ東京都23区の成約数減少はわずか1.2%に限られ、新築物件の戸数減少と価格高騰から、特に都心部では中古マンション需要が一定の水準を保っています。
中古マンション価格はすべての地域で上昇
一方中古マンション価格についてはすべての地域で上昇していますが、約3%程度と推察される2023年の前年比物価上昇率から大きくは乖離していません。
ただし、新築物件の戸数減少と価格高騰傾向が今後も続くと予測されており、住宅需要が中古住宅へ流れることによる価格への影響は避けられないでしょう。
東京都23区では築21~30年の物件のみ成約数が増加
引用元:東日本不動産流通機構
続いて築年数別に東京都の中古マンション成約数を見ていきます。23区において築20年以下および31年以上の物件は前年同期比で成約数が減少しているのに対し、築21年~30年の物件に限り成約物件数が大幅に伸びていることがわかります。
築21~25年の物件は割安感が薄まってきている
さらに築年数ごとの成約価格上昇率においても、築21~25年の物件は前年同期比で20.1%増、築26~30年の物件は13.8%増と他の築年数帯より高くなっています。
特に築21~25年の物件は、より築年数の浅い物件との価格差が縮まったことで割安感が薄れてきています。
一方で築26~30年の物件はいまだに割安感があるため、リノベーション物件としても引き続き需要の高い築年数といえるでしょう。
築年数以外で中古マンションを選ぶ際のポイントは?
では、中古マンションを選ぶ際に築年数以外で重要なポイントは何になるのでしょうか?
特に大きいポイントとしては「建物の構造」です。
建物には木造、鉄骨造、鉄筋コンクリート造などの構造別に「法定耐用年数」が定められています。
構造別法定耐用年数一覧
構造 | 事業用耐用年数 | 非事業用耐用年数 |
木造 | 22年 | 33年 |
木骨モルタル造 | 20年 | 30年 |
鉄骨鉄筋コンリート造 鉄筋コンクリート造 |
47年 | 70年 |
れんが造 石造 ブロック造 |
38年 | 57年 |
鉄骨造(4mm超) | 34年 | 51年 |
鉄骨造(3mm超~4mm) | 27年 | 40年 |
鉄骨造(3mm以下) | 19年 | 28年 |
法定耐用年数は、物件の価格や実際に住める年数を直接定めるものではありません。
とはいえ物件所有による税負担や売却のしやすさなど、物件の価値に大きく関わってきます。鉄骨鉄筋コンクリート造、もしくは鉄筋コンクリート造の建物が法定耐用年数が最も長く、耐震性などの面でも信頼できる構造と言えます。
築26年以降で鉄筋コンクリート造の物件がおすすめ
築年数および構造の面から複合的に判断すると、東京近郊で中古マンションを購入する場合、築年数が26年以上かつ、鉄筋コンクリート造もしくは鉄骨鉄筋コンクリート造の物件が価格や耐用年数、耐震性などの面からおすすめと言えます。
もちろん管理状況や修繕計画などに問題が無いか等、個々に確認する必要はありますが、中古マンション物件を探す際の一定の指標として意識していただければと思います。