バブルを超えた首都圏マンション価格
1991年度、あのバブル崩壊直前に記録した6,137万円という平均価格を、なんと2021度上半期(4月〜9月)として過去最高価格を更新したと、不動産経済研究所が発表しました。
1戸あたりの平均価格は6,702万円となり、更に東京23区に至ってはその平均価格が8,686万円にもなりました。
空前の金利安とはいえ、1973年の調査開始以降では最高値となった現状では、新築へのこだわりも更なる変化が起きるかもしれません。
それでも止まらない価格上昇の理由とは?
図は過去20年間の首都圏新築マンションの供給戸数の推移です。(不動産経済研究所資料より)
20年前には9万戸前後の供給があったものの、リーマンショックを機に多くの新興マンションデベロッパーが倒産し、旧財閥系や電鉄系といった大手のみが供給者となった市場において、過剰な販売合戦も起きず、中古マンションストックや人口減少などに見合った供給戸数で推移しています。
昨年は新型コロナウィルスの影響もあったとはいえ、3万戸を割りました。
こうした、需要と供給のバランスが昨今の安定的価格高騰をもたらしたと言えるでしょう。
供給戸数は増えるのか?
新築マンションの建設に適した、高い建物を建築できる土地はここ数年インバウンド目当てのホテル建設業者と競合し、用地仕入れ高騰という状況を生み、その多くの土地がホテル建設業者の手に渡りました。しかし、新型コロナウイルスの影響によりインバウンド需要は消え、ホテル建設も止まったことにより、マンション建設用地は増えてはいます。
従いまして、2021年度は首都圏新築マンション供給が3万戸を回復する見込みですが、それでも微増というレベルですので、価格の高値維持は続くと思われます。
中古マンションへの流入は続く
ご紹介した新築マンションの供給減のみならず、新築戸建ての供給も低調なままであることから、これまで同様に中古マンションという選択が増え続けるの間違いないと思われます。
特に、かつて不動産=立地という視点が最重要ポイントであった時代から、コロナ禍によりその暮らしの快適性に重点が置かれ、まさに「資産価値」から「居住価値」という流れが加速しています。ここでポイントとなるのは、部屋をどう快適にリノベーションするか。不動産は構造躯体がきちんとしていれば、室内はどうにでもカスタマイズができます。
まさに「物件探し」と「リノベーション」は一つのストーリーだと言えます。